9月18日(土)、東京国際フォーラムにおいて、イムカ主催、日立製作所、
日経BP社協賛で『日立 オートモーティブ テクノセミナー』が開催された。
参加者は約70名。講師、聴講者とも大変熱心で、ほぼ満席の会場はリラック
スした雰囲気の中にも熱意が溢れ、参加者からは最新情報が聞けて大変有意義
だったとの声が多く寄せられた。
第一部の基調講演は、日経 Automotive Technology 編集長・鶴原吉郎氏。
テーマは、自動車業界の最新動向(エレクトロニクスが変える近未来の自動車)。
自動車雑誌は多いが、技術系雑誌は殆どない。カーエレクトロニクスが脇役か
ら主役に変化し、多くの関連企業が本気で参画してきた状況を背景に、本格的
な技術系雑誌・日経AT誌がいよいよ登場、新しい価値(Value)を生み出す
自動車エンジニアを応援する。
6月末、鶴原編集長は米ボストン郊外のBOSE社に招待されたが、デモ車を見て
背筋が寒くなった。リニアモーター制御サスペンションのデモ車は、かなりの
凸凹道を全く揺れないで走っていた。24年に亘る開発と周辺技術の進歩によ
り実現した車だ。
これ以外にも、4駆、ブレーキ、パワステ、各種センサー・カメラなど、車の
エレクトロニクス化は、想像以上に進んでいる。今後大きな伸びが予想される
のはハイブリッド車とディーゼル車。燃料電池車の実用化はまだ先。カーエレ
クトロニクスの進歩により、今後、コスト競争、国際的主導権争いが益々活発
化するという。
第二部の特別ゲスト講演は、日立製作所 オートモーティブシステムグループ
アドバンスト・テクニカルセンター長 向尾昭夫氏(理博)。テーマは、日立
製作所の一兆円事業戦略。
世界の自動車台数は年2.4%UP。元々規模が大きいので、このUP率は大きい。
自動車部品は年7.3%UP、市場規模は2000年10.5兆円、2005年14兆円。注目の
技術は X-by-Wire。X-by-WireのXは、x1,x2,x3・・・、Wireは電線、即ち、車
の多様な要素を電動化し、エレクトロニクス技術で統合。Drive-by-Wire,
Brake-by-Wire, Steer-by-Wire, Suspension-by-Wire 等々。特に車から全て
の油圧配管をなくすのは大きな夢だ。将来目標はそれら全てを統合するITS
(Intelligent Transport System)走行制御。
日立では自動車機器事業を中期経営計画の注力事業に位置付け、2010年事業
規模1兆円、営業利益率7%以上、世界の自動車部品メーカー売上ベスト10
以上を目指し、自動車関連企業のグループ化を始め、ダイナミックな活動を
展開。内訳はエンジンマネージメントシステム2500億円、パワートレイン・
電装品3300億円、走行制御システム2500億円、車載情報システム1700億円。
日立は自動車のかなりの部分を既に製作しているが、今後、制御・通信技術
を活用・統合し、新ビジネスへ展開していく。
第二部の特別ゲスト講演(事例発表)は、日立製作所 オートモーティブシス
テムグループ エンジニアリングソリューションセンター エレクトリック
パワートレイン担当部長 深作良範氏。テーマは、専用バッテリーがいらない
電動四駆技術の開発。
深作氏は車と社会の夢を「かたち」にして行きたいと語る。自分の発想とコン
セプトを固めて、どう実現していくかに開発の醍醐味があるという。
今回、多くの写真を交えて紹介されたのは、2003年日経BP技術賞を受賞した
電動4駆。開発のコンセプトは日常生活圏で活躍できる生活4駆。様々な障壁
を乗り越え、FF車を簡単に4駆にでき、構成部品・コスト・重量・燃費面で
優れた4駆を開発できた。既に日産、マツダ車に搭載されている。生活4駆と
いっても、国内一般道の最悪条件である圧雪路勾配20%を楽々登っていく。
今後は、パワフルモータ生活4駆で、高トルク化と高車速化の両方を同時に
狙いたいと夢を語られた。
第三部は懇親会(質疑応答)。多くの質問を内容別に整理し、30項目近い
内容について、講師の方が一つ一つ丁寧に答えられた。この後、講演者との
個別相談、及び第四部のキャリアコンサルティングが活発に行われた。
・上記記事、及び日立製作所オートモーティブシステムグループの求人内容
に関してご質問のある方は、本原(motohara@imca.co.jp)まで
お気軽にお問い合わせ下さい。
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