武原氏
今回は日本語ワープロソフト「一太郎」や日本語辞書システム「ATOK」などの数々のヒット商品を開発してきたジャストシステムの浮川和宣社長にお話を伺います。今年6月にはXMLアプリケーションフレームワーク「xfy」が、国際先進情報検索センターが主催する「第8回RIAOカンファレンス」で最優秀アプリケーション賞を授賞したそうですね。おめでとうございます。

浮川氏
ありがとうございます。
当社は創業以来、日本語処理エンジンの研究開発をコアにして関連製品を開発してきました。
「xfy」は次世代版「一太郎」のデータハンドリング処理を研究している過程から生まれました。当初は文書処理技術にXMLを活用するというものだったのですが、担当エンジニアたちのアイディアを具体化していったところ、単なる一つのアプリケーションではなく、XMLベースのアプリケーション・プラットフォームにまで発展しました。
武原氏
たしかに、これまでは“日本語処理・ワープロソフトのジャストシステム”というイメージが強かったので、今回のエンタープライズ分野への参入は非常に驚きました。そういった豊かな発想力、実行力を兼ね備えた人材をどうやって育ててきたのでしょうか。
浮川氏
当社は“世に無いものを作る”というコンセプトを掲げて、技術先進型の研究開発体制を築いています。徳島本社の研究所では誰もが研究に没頭できる環境を作り上げています。新しいものに興味を持った研究者肌のエンジニアが寸暇も惜しんで研究に明け暮れています。今回の「xfy」はまさにそんな企業風土から生まれた製品ですね。
武原氏
研究開発体制の確立には、具体的にどのような取り組みをされていますか。
浮川氏
当社では技術情報の共有やモチベーションの向上を目的に、社内で技術発表会「ジャストシステム・テクノロジー・コンベンション」を開催しています。国内だけで約400名の従業員が各部門部署で様々な研究開発を行っているので、他部門で何をしているのかが分からなくなります。そこで、優れた技術の発表と、その開発者の表彰を行っています。この技術発表会により、複数の部署の技術を組み合わせた新しい製品の企画が生まれたりもしています。
武原氏
なるほど。企業規模が大きくなるにつれて埋もれがちな、技術や人をきちんとピックアップするのですね。
当社は御社と21年お付き合いさせてもらい、これまでに約70名の人材をご紹介しています。

浮川氏
御社にはお世話になっています。良い人材であれば、これからも積極的に採用して行きたいと考えています。
武原氏
経験値・向上心共に高い人材というのは、自分のキャリアプランを真剣に考えています。
企業は力のある人材に選ばれるような社風、ブランド作りが必要でしょう。
武原氏
人材採用ではどのような点を評価しているのでしょうか。
浮川氏
当社が求める人材とは、新しいものに興味を持つ人、明るい性格で話がきちんとできる人、そして、物事を多角的に考えられる人です。何よりも“何がしたいのか”を明確に答えられることが重要です。

武原氏
社員の自発的な行動が、御社の成長の秘訣なのですね。
浮川氏
さらに、社員一人一人が自分の考えを主張し、皆で討議する文化が根付いています。賛同が得られたものは、即実行します。
武原氏
御社は創業29年目ですが、ベンチャー企業のような活気に溢れていますね。
浮川氏
当社では向上心のある人材が希望するのならば、可能な限りその分野の研究開発に携われるよう配慮しています。社員たちがやりたいことをできる環境作りが、企業・経営陣の役割だと考えています。
武原氏
社員たちが自分のキャリアプランを明確に持ち、企業はそのサポート役として、人材を適所に配置するというわけですね。
まさにJust“Fit”Systemですね。
浮川氏
研究開発を中心とした技術指向の会社ですから、何事も目的意識を持って遂行していくことが肝要になります。
妻(浮川初子ジャストシステム専務取締役)がいつも言っている“Never Give Up、成功するまでやる”という精神が、社員にも浸透しているようです。
武原氏
今後も他社の1歩も2歩も先を行く技術研究、また企業成長に“Never Give Up”の精神で取り組んでください。本日はありがとうございました。