武原氏
御社の35%を超える高い成長率をもたらしているものは何でしょうか?藤原氏
必ずしも我々の実力だけではないのです。
鉄は確かに国の発展・基盤を支える大切な要素産業ですが、世界中が過去15年、あまりにも低迷停滞していました。だが、人間の成長と同じでその停滞に抗し切れなくなったのが、この5年です。
私達の会社の発展もここの追い風で伸びた面は否定できない。しかしながら、我々はこれに応えるだけの技術力があったからこそ実現出来たと思っています。
我々は将来共、必要とされる“事業”に携わっていますから、これを将来に向けてどう繋いでいくのか、次代の人材が「面白い」と思ってくれるように伝えるのが私の役割の一つと思っています。
武原氏
御社の特徴として
1.自立したエンジニア集団
2 .世界がフィールド
3 .大手 4 社の精鋭集団
4 .スケールの大きな仕事
5 .鉄鋼業界を支える高度な設備エンニアリング技術の継承
を挙げられていますが、求める人物像についてお聞かせください。
藤原氏
「こういう人」とあまり決め付ける必要はないと思います。要はあらゆる人を使えるようにしていくのが自分たちの役目です。
というのも当社の業務は広範囲で、研究開発には豊かな発想が必要であり、設計は緻密に間違いなく行うこと等が求められます。特にお客様と相談しながら進めるプロジェクト部隊はプロジェクトマネージャー1人が100億円から300億円の注文をまとめていかなければならない非常に決断力を必要とする仕事であったり、メンテナンス部隊はお客様の立場に立って細かいところに気をつけているなど、社員すべての人に合った仕事があります。
あと重要なことは、こうした仕事に喜びを感じる人を作ることですね。知識は周りから学ぶことができますが、仕事の喜びは体験することから学ぶ所が大きいですね。
武原氏
幅広い仕事なので、大学院卒から専門工業高校卒の方までいらっしゃるわけですね。
そうした方をどのように動機付けていらっしゃいますか?
トップとして社員教育にどのように関与されていますか?
藤原氏
この会社を作って今年で7年になりますが、日本の製鉄エンジ業の将来の為には本当は、日本の同業他社を含めて1つになってやって行かなければならないと思う。そういう単位で行わないと、世界の舞台に立てない。それほど大きな市場が全世界にあります。日本の製鉄エンジ業は連携しながら、“オール日本”でどの技術を将来に残し、どの様に高度化するかを追求する。そうしたマインドになって欲しい。若い人たちにこうしたマインドをどう伝え、醸成するか。研修も含めこういうことを大切にしています。
こういうマインドの醸成には直接話すしかない。このため私は全員面談を行ってきました。1回行うのに3カ月ほどかかりますが・・・。マインドが私が期待する方向を向いてくれば、人は着実に伸びます。「どうしようか」と悩んでいる人たちに方向を指せば、自分で考え、確実に進歩していくと思います。
私は「若い人は捨てたものではないな」と感じています。

武原氏
社長と社員とのダイレクトコミュニケーションを大切にされているわけですね。
藤原氏
感情が入らないと伝わりませんね。ですから、懇談会なのか言い合いなのか分からない場面もあります。
それから、私は当社の機関誌に 「社長のひとこと」という社員に向けたメッセージ を書き、
私が日々感じたことを社員に直接伝えていこうと思っています。
今後の日本の社会のなかで鉄鋼業がどうしても必要であると同時に私達の製鉄エンジニアリング業が必要だということを若い人は判りません。私も分かるのに10年以上の時間がかかりました。当社は、鉄を作る設備のノウハウを沢山抱えていて、世の中が欲した時即ちその需要が出てきた時にそれを店先に並べ供給して行く役割を持っています。また、私共の会社はエンジニアリング会社であり、自らものを自分で作るわけではありませんが、どう作れば良いかをノウハウとして蓄積している会社です。これが当社のミッションですが、説明してもなかなか判り難いですね。
武原氏
高いエンジニアリングを中心とした会社ですね。
藤原氏
日本人は、自分で考え、経験して、実証した結果、フィードバックして少しずつでも着実に伸びていく特性を持っています。これは世界でも抜き出た能力で、この特性は捨ててはいけない。
社内でいつも言っていることですが、当社には天才はいない。一歩ずつ進み、毎回の仕事の中に10%~15%でも新しいことに挑戦し続けることが大切で、後で、何時の間にか大きな進捗をしていることにハッと気が付く事がある。こうした歩みで成り立っているのが私達の製鉄エンジニアリングです。私自身、こうした教育を受けてきました。やってみて、実証して、納得するという現場主義ですね。スローですが、確実に世界に勝てる会社になると思っています。
武原氏
現場尊重主義が日本のモノづくりを支え、世界をリードし、他では真似できない行き方なのですね。
藤原氏
自覚しているかいないか分かりませんが、当社のやっていることは、世界の鉄鋼業の中でもかなり高度な部分を担っています。
絶対、頭の中だけではできない技術です。やってみて経験して身につく技術。
今からの10年間は製鉄エンジの技術発展には難しい時期です。これまでの技術だけではできない。今迄の私の時代は多くの設備投資があり、それをやることで技術的挑戦も出来、達成感がありました。しかし、この10年~15年は設備投資も少なく、このような経験が少ない。ということはお客さんからの新技術の要求も途絶えていた。そこへ今後は「こういう新しい技術があります」と新しいことを提案していかなければならない。
当社の責任は非常に重い。ですから、求める人材の中には型破りの人が必要です。全員ではありませんが、型破りの人がいないと発展しない。
その人をどう発見するかについて、イムカさんに大いに期待しています。
武原氏
近くオフィスを移転されるとお聞きしましたが・・・。
藤原氏
はい。現在、オフィスが2つに分かれており、効率が悪く、また非常に手狭になってきたため、横浜駅東口に
現在建設中のオフィスビルに3フロアを借り、近く移転する予定です。
交通アクセスが抜群、また、3フロアに全社員が入居することで、社員間のコミュニケーションが今よりぐっと
よくなると期待しています。